鈴木大拙館

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鈴木大拙館
D.T.Suzuki Museum
「水鏡の庭」に浮かぶ「思索空間棟」
地図
施設情報
正式名称 鈴木大拙館
収蔵作品数 約300点(開館時)[1]
館長 木村宣彰
学芸員 猪谷聡
事業主体 金沢市
管理運営 公益財団法人金沢文化振興財団[2]
建物設計 谷口吉生[3][4]
延床面積 631.63m2
開館 2011年10月18日[5]
所在地 920-0964
石川県金沢市本多町三丁目4番20号
位置 北緯36度33分27.5秒 東経136度39分39.5秒 / 北緯36.557639度 東経136.660972度 / 36.557639; 136.660972座標: 北緯36度33分27.5秒 東経136度39分39.5秒 / 北緯36.557639度 東経136.660972度 / 36.557639; 136.660972
アクセス 金沢駅からバス20分
外部リンク 鈴木大拙館
プロジェクト:GLAM
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「水鏡の庭」越しに斜面緑地を望む
思索空間
正面入口

鈴木大拙館(すずきだいせつかん)は、石川県金沢市本多町にある鈴木大拙に関する博物館である。2017年現在の館長は木村宣彰

概要[編集]

金沢市出身の仏教学者である鈴木大拙への理解を深め、思索の場とすることを目的に、金沢市が2011年平成23年)10月18日に開設した[5]。施設の設計は金沢市にゆかりの深い日本芸術院会員の谷口吉生[3][4]。大拙生誕地の近くに立地し、借景となる本多の森公園との調和や大拙の精神とされる「静か」「自由」の具現化を図ったとされる[3]。なお、開館日の10月18日は大拙の生誕日旧暦)である[6]

鈴木大拙は英文で仏教について多くの発表をしており、当館の入館者のうち約30%を外国人が占めている[7]

施設[編集]

建物は「玄関棟」「展示棟」「思索空間棟」とこれらを結ぶ回廊からなり、回廊の両側には「水鏡の庭」「玄関の庭」が配されている[3]。「水鏡の庭」は浅く水をたたえ、「思索空間棟」はその中に浮かぶように立っており、静かな空間を演出している[1]。「思索空間棟」は、谷口が禅宗寺院の住職が生活する空間「方丈」をイメージして設計した建物で、中で「水鏡の庭」や本多の森を眺めながら座禅を組むこともできるようになっている[5]。「展示棟」では収蔵品のうち大拙の書、写真など33点が展示されている。展示品には詳細な説明はなく[3]、これは来館者がそれぞれに考え、大拙の思考を感じるための趣向であるとされる[1]

施設の設置に併せ、本多の森公園の斜面緑地に沿って金沢市立中村記念美術館まで「緑の小径」が整備された[3]辰巳用水が流れる斜面横の階段を上がれば石川県立美術館、用水沿いに下れば金沢21世紀美術館に抜けられ、まちなかの回遊性に配慮されている[1]

2015年に、日本建設業連合会主催の第56回BCS賞を受賞している[8]。また、2019年にはトリップアドバイザー日本の博物館ランキングにおいて第3位にランクインしている[9]

その他[編集]

鈴木大拙を国内外に発信する取組として、大拙が編集員を務めていた社の建物を保存管理しているヘゲラー・ケーラス財団(米国イリノイ州)と、大拙が数多く講演したニューヨーク仏教会を併設しているアメリカ仏教研究センター(米国ニューヨーク市)の2機関との間で交流協定を締結する[6]ほか、設計を担当した谷口吉生、大拙晩年の主治医である日野原重明上田閑照哲学者)、寺島実郎評論家)、ピーター・グリーリ(ボストン日本協会)が金沢市からアンバサダー(大使)に委嘱されている[10]

周辺施設[編集]

交通アクセス[編集]

金沢駅からバス

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 「自然の中で思索深め 金沢で鈴木大拙館きょう開館」『北國新聞』2011年10月18日[リンク切れ]
  2. ^ 指定管理者制度導入施設一覧(金沢市)
  3. ^ a b c d e f 金沢・鈴木大拙館 禅を体現した建築と緑薫る本多の森”. All About (2017年12月13日). 2020年2月10日閲覧。
  4. ^ a b “異なる「禅」と「ZEN」、両方感じられるデザインとは”. 日刊工業新聞. (2019年9月8日). https://newswitch.jp/p/19139 2020年2月10日閲覧。 
  5. ^ a b c “金沢に「鈴木大拙館」開館-独自の「浮島」思索空間で座禅も”. 金沢経済新聞. (2011年10月19日). https://kanazawa.keizai.biz/headline/1631/ 2020年2月10日閲覧。 
  6. ^ a b 「米国3機関と協定締結へ 金沢の鈴木大拙館、使節団が来月打診」『北國新聞』2011年7月28日[リンク切れ]
  7. ^ 池田洋一郎 (2018年6月7日). “古都ものがたり 京都 鈴木大拙の研究支えた大谷大学 慕われた教授、思想は世界へ”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 夕刊 5面 
  8. ^ 第56回BCS賞受賞作品 鈴木大拙館
  9. ^ トリップアドバイザー 口コミで人気!博物館ランキング2019
  10. ^ 「鈴木大拙館の開館について」金沢市[リンク切れ]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]